適応障害

進学、就職、転勤、引っ越し、結婚など、生活環境が大きく変わると、新しい環境にうまくなじめず、強いストレスを感じることがあります。
そのストレスにうまく対応できない状態が続き、気分の落ち込み（抑うつ気分）や不安などの精神的な症状、または日常生活での問題行動が現れるのが「適応障害」です。

几帳面でまじめな性格の方、責任感が強い方、ストレスに敏感な方は、特にこの病気になりやすいといわれています。

適応障害の症状は、ストレスを感じるようになってから3か月以内に現れるのが特徴です。

こうした症状によって、仕事や学校、家庭生活に支障が出ている場合、適応障害と診断されます。

適応障害の治療で最も大切なのは、ストレスの原因からできるだけ離れることです。
環境を整え、心と体をゆっくり休める時間をつくりましょう。

休養中は、規則正しい生活リズムを意識し、栄養バランスのとれた食事や軽い運動を取り入れることも大切です。
体調を整えることで、心の回復も進みやすくなります。

薬物療法（薬による治療）

適応障害には「これを飲めば治る」という特効薬はありませんが、
症状に応じて薬を使うことがあります。

たとえば、

• 不安感が強い場合は 抗不安薬
• 睡眠に問題がある場合は 睡眠導入薬

などを、医師の判断のもとで使用します。

薬はあくまで症状を和らげるための補助的な役割であり、
根本的な回復には環境の調整と休養が欠かせません。

精神療法（薬を使わない治療）

薬だけでなく、非薬物療法（精神療法）を行うことも重要です。
中でもよく用いられるのが 認知行動療法 です。

これは、医師や心理士とのカウンセリングを通して、これまでの考え方や行動の傾向を振り返り、ストレスを感じにくい考え方や対処法を身につけていく方法です。

認知行動療法を続けることで、ストレスに対する「心の耐性（たえられる力）」が少しずつ高まり、再び同じような状況になっても落ち込みにくくなります。