双極性障害とは
双極性障害(そうきょくせいしょうがい)は、以前は「躁うつ病(そううつびょう)」とも呼ばれていた病気です。
気分が高ぶって活発になる「躁(そう)状態」や「軽躁(けいそう)状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す心の病気です。
このような気分の波は、数か月から数年のあいだにわたって周期的に現れることがあります。
双極性障害のタイプ
双極性障害には、大きく分けて2つのタイプがあります。
- 双極Ⅰ型障害(そうきょくいちがたしょうがい)
- 強い躁状態とうつ状態を繰り返すタイプです。
躁状態では、気分が異常に高ぶり、活動的になりすぎてしまうことがあります。 - 双極Ⅱ型障害(そうきょくにがたしょうがい)
- 躁状態ほどではない「軽躁状態」と、うつ状態を繰り返すタイプです。
気分の波は比較的穏やかですが、うつ状態が長く続くことがあります。
双極性障害は、気分の変化が一時的なものではなく、脳の働きのバランスが崩れることで起こる病気です。
適切な治療と生活の工夫により、安定した状態を保つことが可能です。
躁状態について
「躁状態(そうじょうたい)」とは、気分が必要以上に高ぶり、エネルギーにあふれて活動的になっている状態のことをいいます。
いわゆる「ハイテンション」な状態に近く、本人は元気で調子が良いと感じていても、周囲から見ると少し異常に見えるほど行動や話し方が活発になりすぎることがあります。
躁状態では、次のような症状がみられることがあります。
- 気分が異常に高揚し、自信にあふれている
- ほとんど眠らなくても平気に感じる
- 話すスピードが速くなり、止まらない
- アイデアが次々に浮かび、行動が衝動的になる
- 無計画にお金を使ったり、大きな決断をしてしまう
- 周囲への配慮が欠け、トラブルになりやすい など
このような状態が7日以上続く場合、特に「双極Ⅰ型障害」でみられる躁状態の可能性があります。
軽躁状態について
軽躁状態(けいそうじょうたい)は、双極Ⅱ型(そうきょくにがた)障害でみられる症状のひとつです。
気分が高ぶり、活動的になる点は躁(そう)状態と似ていますが、人間関係や社会生活に大きな支障をきたすほどではありません。
軽躁状態は、4日以上続くのが特徴で、その後に「うつ状態」を経験することを繰り返すようになります。
双極Ⅱ型障害では、特にうつ状態の期間が長く続くことが多いといわれています。
軽躁状態でみられる主な症状
軽躁状態でも、躁状態とよく似た症状が現れます。
ただし、症状の程度は比較的軽く、本人が「調子が良い」と感じている場合も少なくありません。
具体的には、次のような変化が見られることがあります。
- 気分が軽く高揚し、4~6日ほど元気な状態が続く
- 睡眠時間が短くても「よく寝た」と感じる
- 気力や行動力が増し、積極的になる
- 自信が高まり、自尊心が強くなる
- 人付き合いが活発になり、社交的でよく話すようになる
軽躁状態のときは、本人も周囲も病気だと気づきにくいことがあります。
しかし、その後にうつ状態が長く続くことが多いため、「気分の波が大きい」「元気すぎる時期と落ち込みがある」と感じた場合は、早めに専門医へ相談することが大切です。
うつ状態について
双極性障害の「うつ状態」では、症状のあらわれ方はうつ病とほぼ同じです。
気分が落ち込み(抑うつ気分)、何に対しても興味や関心が持てなくなるなどの状態が続きます。
また、次のような症状が見られることもあります。
- 疲れやすく、体が重く感じる
- 食欲がなくなる、または食べすぎてしまう
- 「消えてしまいたい」といった思いが浮かぶ(希死念慮)
- 夜眠れない、または寝すぎてしまうなど、睡眠のリズムが乱れる
診断について
うつ状態だけが続いているときには、それが「うつ病」なのか「双極性障害によるうつ状態」なのかを見分けるのは難しいとされています。
そのため、医師は症状の経過を丁寧に観察し、時間をかけて総合的に診断を行います。
発症の原因
はっきりとした原因はまだわかっていませんが、脳の中で気分を調整する神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスが乱れること、または遺伝的な体質が関係していると考えられています。
治療について
双極性障害の治療の中心となるのは、薬による治療(薬物療法)です。
薬物療法(薬による治療)
気分の波を安定させるために、主に 気分安定薬 が使われます。
代表的な薬には次のようなものがあります。
- 炭酸リチウム
- バルプロ酸ナトリウム
これらの薬は、躁状態とうつ状態のどちらにも効果があり、
気分の浮き沈みを防ぐ役割を果たします。
また、躁状態がみられる場合には、アリピプラゾール などの「非定型抗精神病薬」を併用することもあります。
これにより、気分の高ぶりや衝動的な行動を抑える効果が期待できます。
精神療法(薬を使わない治療)
薬による治療とあわせて、非薬物療法を行うことも大切です。
心の負担を軽くし、再発を防ぐためのサポートになります。
主な方法には次のようなものがあります。
- 認知行動療法(CBT)
- ものごとの受け止め方(認知)に偏りがある場合、それを修正し、ストレスや問題行動に対してより良い対処方法を身につけていく心理療法です。
- 修正型電気けいれん療法(mECT)
- 重いうつ状態が続く場合などに行われる治療で、頭部に電気的刺激を与え、脳の働きを整える方法です。
これらの治療は、症状や状態に合わせて医師が慎重に判断して行います。
双極性障害は、適切な治療を続けることで症状をコントロールし、安定した生活を送ることが十分に可能です。
焦らず、医師と相談しながら治療を進めていくことが大切です。
