発達障害とは

発達とは、子どもが成長しながら心や体、考える力などを身につけていくことをいいます。
たとえば、赤ちゃんが泣く・笑う・ハイハイをする・言葉を話す・立って歩くといった過程が「発達」です。

この発達の過程のどこかにうまくいかない部分があり、それが心の働きや行動に影響して、日常生活に困りごとが生じている状態を発達障害(はったつしょうがい)と呼びます。

発達障害は病気ではなく、先天的な脳の働き方の特性によって起こるとされています。
脳の中には「考える」「感情をコントロールする」「記憶する」などの働きを担う部分がいくつもありますが、
それらの連携がうまくいかないことが原因と考えられています。

そのため、本人の努力不足や家庭のしつけの問題ではありません。

発達障害の主な種類

発達障害にはいくつかのタイプがあり、代表的なものは次の3つです。

  1. 自閉スペクトラム症(ASD)
  2. 注意欠如・多動症(ADHD)
  3. 学習障害(LD)

自閉スペクトラム症(ASD)

かつては「自閉症」「アスペルガー症候群」などと呼ばれていたものをまとめてASD(エー・エス・ディー)といいます。

社会的なコミュニケーションや行動の特徴に関わる脳の働きが関係しており、2〜3歳ごろから特徴が見られることもあります。

主な特徴

  • 目を合わせにくい、または視線が合わない
  • 一人で遊ぶことを好む
  • 会話が一方的になりやすい
  • 音・光・匂いなどに過敏、または鈍感
  • 強いこだわりがある
  • かんしゃくを起こしやすい

思春期以降になると、空気を読む・建前を理解するなどの複雑な人間関係に苦労し、
うつ病や不安障害などを併発することもあります。

注意欠如・多動症(ADHD)

ADHD(エーディーエイチディー)は、「集中できない」「落ち着かない」「衝動的に行動してしまう」といった特徴をもつ発達障害です。
多くの場合、小学校入学前後(5〜7歳)ごろに気づかれます。

主な特徴

  • 授業中に席を立つ
  • 忘れ物やうっかりミスが多い
  • 順番を待てない・我慢が難しい
  • 思いついたことをすぐ行動に移してしまう

大人になると「多動性」は目立たなくなることもありますが、「不注意」の傾向は残りやすく、仕事でミスが続くなどして、成人後に診断されるケースもあります。

学習障害(LD)

学習障害(エルディー)は、知的な発達には問題がないものの、「読む」「書く」「計算する」など特定の分野だけが極端に苦手な状態をいいます。

努力や練習だけでは改善しにくく、個別に合った支援や学び方の工夫が必要になります。

発達障害の子どもによくみられる傾向

発達障害の現れ方は人それぞれで、年齢や環境によっても変わります。
以下のような特徴が見られ、日常生活に支障がある場合は早めにご相談ください。

  • 一人で遊ぶことが多い
  • 他の子どもや大人との会話が苦手
  • 光・音・匂いなどに敏感または鈍感
  • 忘れ物・不注意・ミスが多い
  • 学習面で特定の分野が極端に苦手
  • 落ち着きがない、じっとしていられない
  • 行動や気持ちの切り替えが難しい
  • 衝動的な行動をとる
  • 集中力が続かない

診断について

発達障害の診断は医師による問診と検査で行います。
本人や保護者から、日常生活での困りごと、小さいころの様子、学校や家庭での行動パターンなどを丁寧にお聞きします。

必要に応じて以下のような検査を行うこともあります。

  • 脳波・CT・MRIなどの画像検査(脳の状態を確認)
  • 心理検査(発達の段階や知能の特徴を調べる)

これらの結果をもとに、国際的な診断基準(DSM-5など)に照らし合わせ、最終的に診断します。

治療・支援について

発達障害には特効薬はありません。
そのため、治療の中心は「生活を送りやすくするための環境づくりと支援」です。
タイプごとに支援の方法が異なります。

自閉スペクトラム症(ASD)の支援

療育と環境調整が中心になります。

療育:生活や社会性を身につけるための支援。
  • 本人の得意なことを伸ばす
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)で人との関わり方を練習
  • TEACCHプログラムなどを実施
環境調整:集中しやすい環境を整える
  • 刺激を減らした落ち着いた空間づくり
  • 言葉だけでなく、図や写真を使って理解を助ける
  • 規則正しい生活リズムを整える

また、保護者への支援も大切です。
発達障害の特性を理解し、子どもに合った関わり方を学ぶことで、家庭での支援がスムーズになります。

ADHDの支援・治療

環境調整と行動トレーニングが基本です。

  • 勉強や作業に集中できるよう、周囲の刺激を減らす
  • 目標を一つずつ明確にし、達成感を得やすくする
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)で適切な行動を学ぶ
  • 保護者向けのペアレントトレーニングで、接し方を身につける

必要に応じて薬物療法を併用します。
使用される薬には以下のようなものがあります。

  • メチルフェニデート
  • リスデキサンフェタミンメシル
  • アトモキセチン
  • グアンファシン

学習障害(LD)の支援

知能の発達には問題がないため、学び方の工夫と支援が中心です。

  • 苦手な分野を細かく分け、繰り返し練習できる環境を整える
  • 成功体験を積み重ねて自信を持てるようにする
  • 学習補助具(リーディングトラッカーなど)を活用
  • 試験時間の延長や支援員のサポートなど「合理的配慮」を行う

ADHDを併発している場合は、必要に応じて薬物療法を併用します。